目の前に嘘みたいに綺麗な娘がいた。
象牙のように白く滑らかな肌。雪上の椿のような赤い唇。瞳は黒曜石のようで、吸い込まれそうな光を放っている。高く結った黒髪がさらさらと流れ頬に影を落とす。
こんな、こんなことがあるだろうか。
まさか僕が――一目惚れするだなんて。
といいます。よろしくお願いします」
さんは畳に手をつき、ゆっくりと頭を下げる。
「…沖田総司です」
思わず見惚れてしまって、そう答えるのがやっとだった。
何をやっているんだ、僕は。
振り払うためかぶりを振る。
土方のさんが何かを感じ取ったように口を開いた。
は俺の従妹だ。暫くは屯所にいるが、男として扱え。…お前の世話もすることになってる」
「へぇ…僕の世話、ですか」
嬉しいような悲しいような。
――かっこ悪いとこ見せちゃうな。 穏やかに笑うさんを見つめる。すると、彼女はすっと寄ってきて、僕の手に自分のそれを重ねた。
少し冷たい手が気持ちいい。思わず息を吐く。ああ、僕は相当熱に浮かされてるようだ。
黒々と濡れた瞳が細められた。
さっきより近いその距離に鼓動が速くなる。なんだか涙出そう。
僅かに開いた口から紅い舌がのぞく。白い歯とのコントラストが眩しい。
ふるりと揺れる唇は、熟れた果実のようで噛り付きたくなる。禁忌のくだもの。
にっこり。象牙のような白い肌に、淡い桃色の華が咲いた。
「きっと役に立ってみせますからね」
ああ、我慢できないかもしれない。




泣きたいくらいに
一目惚れだったんだ。他の人なんかいないみたいに、君しか見えなかった。





行き当たりばったりな沖田さん連載スタートです。
沖田さんは、あんまり動揺を顔に出さない人だと思います。
あ、でも、照れる時は顔背けて照れそう。